DIABETIC糖尿病とは

糖尿病は「血管病」。

糖尿病の恐ろしさは、身体が悪くなっているという自覚症状がほぼないところにあります。そのため放置してしまい、健康状態がかなり悪くなってから医療機関を受診される方が多いです。糖尿病が主に影響する場所は血管です。細い血管から太い血管までいろんな場所で静かに動脈硬化を加速し、失明や足の切断など様々な合併症を引き起こします。40~50歳代で心筋梗塞など命にかかわる状態に陥ることもあります。
重要なのは、糖尿病を発症しても早いうちに適切な治療をしていれば、合併症の発症を予防し、病状の進行や悪化を遅らせることができるということです。ふだんの生活を自分でコントロールすることが重要なので、治療を続け、定期的に検査を受けることが大切になります。

糖尿病の治療を
中断していませんか?

実に糖尿病患者の1割強が治療の中断を経験しています。「忙しいから」「自覚症状が無いから」「治ったと思っていた」「一回受診出来なかったら行き辛くなって」などいろいろな理由はあると思われます。しかし、中断後再び医療機関を訪れる患者さんはほとんどの方が合併症の出現や悪化、他の病気の発症(心筋梗塞や脳梗塞)を契機として治療が再開されるかたも少なくありません。当然、その後の生活にも大きな影響を与えるので心臓の機能低下や麻痺のために運動療法ができない、といった糖尿病の治療そのものにも大きな支障が出てきます。

ほんとうに
患者じゃない?

特に、健康診断で「糖尿病の気がある」と言われている方は要注意です。内服薬も処方されていないから「糖尿病ではない」と考える方は多いのですが、医療者から見ると「すでに立派な糖尿病」と考えられているというケースは意外と多いです。食事療法、運動療法を通じて厳重な経過観察が必要な方というのは、医療者と皆様の間で認識のギャップが大きいものです。「本当に境界型」の方々が「立派な糖尿病」にならない様にどこに注意したらよいのか検査を通じて、提案させていただきます。

糖尿病には、
さまざまな症状があります。

  • 強いのどの渇きや、空腹感
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 頻尿
  • 目がかすむ
  • 急激な体重減少
  • 切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
  • 皮膚が乾燥してかゆい

・・・など

糖尿病は、病因によって「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の糖尿病」に分けられます。
糖尿病になった原因と、その後の治療方法が異なります。
まずは、糖尿病の分類について知りましょう。

1型糖尿病

1型糖尿病は、まだまだメカニズムの全容は明らかにされていませんが、膵臓(すいぞう)のインスリンを産生する細胞が破壊されることで発症します。膵臓からほとんど~まったくインスリンを自分で作り出すことができなくなり血糖値の上昇が引き起こされるため、インスリンを外からの注射で補う必要があります。視力が落ちてきたから眼鏡をかけるように、「足りないものを補う」為にインスリンを用います。健康な人と同じ生活に近づけるための様々な注射製剤、デバイス(注射器具や血糖測定器具)が開発されています。
当院では、CSII(インスリンポンプ)やSAP(Sensor Augmented Pump)による治療や、FGMS(フラッシュグルコースモニタリングシステム)による、リアルタイムモニタリングを駆使した治療法にも対応しております。
また、従来はインスリン注射のみが1型糖尿病の治療でしたが、内服薬(一部のSGLT2阻害薬)も認可されてきており治療法も多様化してきております。是非御相談ください。

1型糖尿病の特徴

子どもや若い人、やせ型の人に多い傾向がありますが中年以降で突然発症するタイプもあります。
病状の悪化も早い傾向にあり、1-2週間で高血糖による種々な症状(口渇、体重減少)が悪化し、すぐにインスリン注射による治療を開始する必要があります。

2型糖尿病

2型糖尿病は、暴飲暴食や運動不足、ストレスなどの生活習慣、遺伝による体質など、さまざまな要因が組み合わさり起こると考えられています。治療は、食事療法、運動療法を基本とし、それでも改善されない場合は、薬物療法も追加して改善を促します。インスリンの分泌量が十分でないときは、注射でインスリンを補うなど、お一人お一人の状態に合わせた正しい治療を提案します。

2型糖尿病の特徴

中高年や、太った人に多い傾向があります。
病状は、ゆるやかに発病し、病状の進行も比較的ゆっくりとした傾向ですが、治療にも時間がかかります。

さらに恐ろしいのが、
糖尿病が引き起こす
合併症です。

糖尿病の3大合併症は、
知っていますか?

01糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害は、高血糖により神経に異常をきたすことで引き起こされる合併症です。手や足の先、足裏のしびれなどの感覚異常があらわれる知覚神経障害と立ちくらみや便秘などに代表される自律神経障害があります。知覚が低下した結果、痛みを感じにくくなっているためにちょっとした足の傷やヤケド等に気づかず壊疽(えそ)に陥り、止むを得ず足を切断することも少なくありません。

02糖尿病性網膜症

眼の網膜は、眼の中に入ってきた光の情報を脳に送る重要な役割を担っています。網膜では、とても細い血管が広がり、神経細胞に酸素や栄養を届けています。しかし、糖尿病で血糖コントロールが悪い状態が続くと、網膜にも血管障害が起こり、糖尿病性網膜症を引き起こします。ひどくなると網膜出血や網膜剥離などが起こって、視力が低下したり失明したりすることもあります。網膜症は自覚症状が出現するころには進行している事が多く、無症状でも定期的な眼科の受診が必須です。

03糖尿病性腎症

腎臓の主な仕事として、尿を作り老廃物を排泄する事と身体のために必要なものが尿に流れ出ないように再吸収を行うことが挙げられます。腎臓は、とても細かい血管でできた小さい網がたくさん集まって構成されています。糖尿病で高血糖状態が長く続くと、この細かい血管が、破れたり詰まったりして、蛋白質が尿に漏れ出てしまったり(蛋白尿)、老廃物をろ過することができなくなったりします。これが「腎不全」と言われる状態です。腎不全に陥った場合には「透析」という血液浄化療法を週に1回~複数回受ける必要が生命維持に欠かせなくなります。

その他にも糖尿病は、
さまざまな合併症を
引き起こします。

動脈硬化による病気
(大血管障害)

動脈硬化とは、動脈の内側にさまざまな物質が沈着して硬くなり、塊(プラーク)ができる状態をいいます。糖尿病をはじめ、脂質異常症(高脂血症)、高血圧、喫煙などによって進行が促進されるとされます。動脈硬化がさらに進むと、血栓が詰まり血流が途絶えたり(梗塞)、血管にこびりついているプラークがはがれて細い血管に詰まる(塞栓)といった、さらに重篤な病気につながる原因となります。

動脈硬化による主な病気
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などがあります。

糖尿病は、血管病といわれることもあり、全身の血管で動脈硬化が進行しているケースが多いです。また糖尿病性神経障害により痛みなどの症状がでにくく、本来ならば重篤な状態である狭心症や心筋梗塞になっても気づかれず、突然死といった不幸な結果につながる事もあります。一見関係ないような心電図検査やレントゲン検査、エコー検査などにも意味があります。自覚症状が無いからと言わずに、定期的に心電図などによるチェックを受けましょう。

糖尿病性足病変
(足壊疽)

糖尿病患者さんは、足の血管が狭く細くなっていることもあり、さらに神経障害により足の感覚低下を合併していることがあります。そのため痛みなどの症状がでにくく重篤な状態になるまで気づかれず、足の組織が壊疽し、患部を切断することがあります。糖尿病性足病変は、血流状態が悪い所に、水虫、マメ、胼胝(タコ)などを自ら処置することで、創部に感染を起こし、最悪指や足の切断につながります。フットケアの知識を持ち、足の手入れを正しい方法で行いましょう。

感染症による病気

糖尿病患者は、白血球の機能低下や、免疫反応の低下、血流の悪化、神経障害など様々なことから、病原菌と十分に戦えない状態になることがあり、糖尿病でない方と比べて重度の感染症を起こしやすいと言われています。特に血糖コントロールが悪い方は、細菌や真菌に対する抵抗力が弱くなるので、重症化しやすく、特に注意が必要です。

感染症による主な病気
歯周病、齲歯(虫歯)、呼吸器感染症、胆のう炎、尿路感染症、
皮膚の感染症(傷が治りにくい)などがあります。
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