管理栄養士さんの気になる話④「秋のおいしい果物は量にご注意」
梨・ぶどう・いちじく・柿・・・など、果物がおいしい季節になりました。『朝の果物は金、昼は銀、夜は銅』と外国のことわざにもあり、「果物は体にいいよね?」と患者さんにもよく聞かれます。
果物には果糖や食物繊維が含まれており、血糖を比較的上げにくいことが知られており、糖尿病の食事療法でも適量摂取が勧められています。とくにブルーベリー・ぶどう・りんごを食べると糖尿病の発生リスクが低下するという報告があるそうです。
1日に適量の果物を食べている人は、あまり果物を食べない人に比べ、2型糖尿病を発症するリスクが低いことが海外の研究で明らかになりました。果物を適量食べている人は、インスリン分泌を節約できることが示されました。ただ、この効果が見られたのは皮や芯までまで含め果物全体を食べていた人で、100%果汁のジュースでは同じ効果はみられなかったそうです。
果物や緑黄色野菜には多く含まれるビタミンA(βカロテン)やビタミンC、カリウムなどのミネラル、フラボノイドが多く含まれます。これらには抗酸化作用があり、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。また、認知機能の低下を抑える効果もあるそうです。
ただし、果糖を摂り過ぎると、血中の中性脂肪(トリグリセライド)や体重の増加をまねく恐れがあるので、果物の食べ過ぎには注意が必要です。特に夕食後の果物の食べ過ぎは内臓脂肪の蓄積に影響が大きいように感じています。果物は活動できる日中(朝食後、昼食後)での適量摂取をおすすめしています。
日本糖尿病学会が推奨する、1日の果物の適正量は、80キロカロリー(糖質約20g)です
下記の写真が1日の目安になります。旬だから…簡単に食べられるから…と増えがちです。
画像で点線で囲ってあるものに注意してください
・みかんはSサイズで2個(正味200g)・スイカは一口大で10個(正味200g)
・りんごは半分(正味150g) ・バナナは1本(正味100g)
・ももは1個 (正味200g) ・パインは一口大で7~8個(正味150g)
・キウイは1個半(正味150g) ・グレープフルーツは2/3個(正味200g)
・梨は 半分(正味200g) ・ぶどうは1/3房(正味150g)
・いちごは 10粒(正味250g) ・柿は1個(正味150g)
・いちじくは 2~3個(正味150g) ・オレンジは 1個(正味150g)
『わかっていても、なかなか減らせない』そんな果物好きな方への5つの提案です。
提案1 買いすぎない。みかんはネット袋入りのものがおすすめです(箱買いは避けましょう)
夏のスイカも丸ごと買いは避けましょう。カットしたものを利用しましょう。
提案2 小さめのものを選びましょう。
小さめの方が味がしっかりしているものが多いです。みかんならSサイズかSSサイズがおすすめです。
提案3 頂き物は、ご近所や職場へおすそわけ。
提案4 夕食後ではなく、朝や日中に食べるのがすすめです。
夕食後の摂取は、夜間の高血糖にもつながりやすいです。日中に食べれば、活動することで血糖上昇をお
さえることができます。
提案5 食物繊維を多く含む果物を選びましょう。
食物繊維が多い分、糖質が少なめで血糖上昇がおさえられます。
【食物繊維が多いベスト10】ラズベリー・レモン・ブルーベリー・きんかん・スターフルーツ・パパイア・キウイ・いちご・ネクタリン・びわ
旬のおいしい果物を、適量摂取して皆さんの生活にビタミンと潤いをプラスしてくださいね。
参考資料 糖尿病ネットワーク・糖尿病食事療法のための食品交換表